とする.このとき
が結果的に無仮定で成立する(述語論理の∀-導入適用可能).
(証明)
1 (1) 仮定
2 (2) 仮定
1,2 (3) 1,2. →-除去
1 (4) 1-3. →-導入
1 (5) 1,3. ¬-除去
(6) 1-5. ¬-導入
(7) 7. DN規則
とする.このとき
が結果的に無仮定で成立する(述語論理の∀-導入適用可能).
(証明)
1 (1) 仮定
2 (2) 仮定
1,2 (3) 1,2. →-除去
1 (4) 1-3. →-導入
1 (5) 1,3. ¬-除去
(6) 1-5. ¬-導入
(7) 7. DN規則
とする.このとき
i.e.
と置くとが成立する.
(理由)
ここで考えることは,が-準同型写像に成るのか,ということである.
(ア) について
よりは(ア)をみたす(が-準同型であるから).
(イ) について
は-加群であるので次のように変形できる
よりは(イ)をみたす.
したがって,と成る.▢
(理由)
に対して
()
と置く.このときより
-
を得る.実際
・について
に関して
(-)
・について
(-)
・について
(-)
・も同様の理由で成立する.
以上より,-▢
は可換環である,という仮定をしたが,結果としてその交換性を用いることは無かったので,を非可換環とし(加法群であることは残る)は左-加群である,と考える.
とする.
前回,が-準同型写像であることを確かめた.これはについて,-準同型写像の加法を定めたことに成る.いま,-準同型写像の集合
を考えると,演算に対して,これは加法群を成す.
(証明)
Ⅰ. 結合律
を選ぶ(パラメタの自在性)すなわち
と置く.このとき,より
が成立する.
Ⅱ. 単位元(零元)
と置く.より
と成る.実際
(ア)
i.e.
が成り立つ.
(イ)
(ア)よりであるから,同様にしてである.したがってが成立する.
Ⅲ. 逆元
と置く.このときより
と表される.というのも
(ア) について
i.e.
と書けるからである.
(イ) について
(ア)と同様にしてが成り立つ.
以上より,準同型写像の集合は加法群を成す.▢
-
とする.
☆ 写像とは何か?
ここでは,言葉の意味について考えることはない.それが「抽象」である.たとえば(左)-加群とは何か? と言われたとしよう.私は(今覚えている限りで)
①
②
③
④
をみたすような及びである,と答えたとする.では,非可換環とは何か? 加法群とは何か? 群とは何か? 二項演算とは何か? 順序対とは何か? 直積集合とは何か? 集合とは何か? というように用語の意味を遡り続けることになる(第一原因への言及).そして,最も重要なことは記憶というのは忘却するものである,ということだ.
もし,仮に①から④を答えたからといって,-加群の意味を知っている訳ではない.私は-加群の性質・作用を知っているだけで,「その物自体」をわからない.それゆえ,-加群それ自体に意味はない,と考える.私はこの無意味な物自体への質問を禁止する.私はただ-加群というものを受け入れて,ただその物がもつ性質や作用を書くのみである.
これより,抽象代数学での用語について物自体への質疑を禁ずる.もし,そのような問い質しがあれば,その質問者に対して事物の第一原因を答えて貰う.そして,集合や写像を考えるうえで,逐一その要素を考えたり,表示したりすることも止める.それが事物を抽象化する,ということに繋がると思うからだ.
このとき
と置き,より
という.
例1
(理由)
と置きより
-準同型写像である
を得る.▢
例2
(理由)
(剰余群の演算)
と置きより
-準同型写像である
がわかる.▢
例3
-
-
(理由)
と置く.より
-準同型写像である
による.▢
例4
(-)
とする.このとき
と置くとである.いま
と書け,は-準同型写像を成す.
(理由)
① であること
と置く.このときより
i.e.
であることがわかる.▢
② -準同型写像であること
(ア)
(イ)
を説明する.
(理由)
(ア)について
と置く.より
がわかる.
(イ)について
とくに-加群でであるから
と置く.より
を得る.▢