情報統合思念体への手紙

16号廃墟へ向かう道

像,核,余像,余核の意義と性質

 P,Q,R,......:センテンス

 パラメタ

 f:M→N  Λ-準同型

 \mathrm{Im}f:=f(M)  f(M)はMの像

 \mathrm{Ker}f:=f^{-1}(0) 0の逆像 f^{-1}(0)=\{x∈M|f(x)=0\}

とする.

  •  fの余像と余核

 \mathrm{Coim}f:=M/\mathrm{Ker}f  余像

 \mathrm{Coker}f:=N/\mathrm{Im}f  余核

で定める.とくにこれらの内包は

 x+\mathrm{Ker}f∈\mathrm{Coim}fに関して x+\mathrm{Ker}f=\{x+y|x∈M\}

であり,余像の要素は

 x∈x+\mathrm{Ker}fに対して x+y=z∈M (とくに Mは加法群)

で表される.もちろん, f(y)=0である.

 

☆ 集合の要素の要素 z∈x+\mathrm{Ker}f∈\mathrm{Coim}fについて

 私の見解は,うそつき村問題はなかったと考えるので,ラッセルの背理は起こらず,このような集合の要素の要素という構成はできる,と思われる.

 

 x+\mathrm{Im}f∈\mathrm{Coker}に対してx+\mathrm{Im}f=\{x+f(y)|x∈N\}

  • 性質

(1)  fが単準同型\dashv\vdash \mathrm{Ker}f=0

(2)  fが全準同型\dashv\vdash \mathrm{Coker}f=0

(1)について

(設計)

 P:fが単準同型

 Q:\mathrm{ker}f=0

と置く.このとき P\dashv\vdash Qより

 P\dashv\vdash Q:fが単準同型のとき,そのときに限り\mathrm{Ker}f=0

である.

(仕組)

(ア)  P\vdash Q

  fが単準同型写像であるとき x\mapsto x(fが単射)であり,とくに

 0\mapsto 0

であるから

 f(x)=0 i.e.  f(0)=0  (零元の性質, f(0)は0にのみ写る)

と成る.

 したがって \mathrm{Ker}f=0である.

(イ)  Q\vdash P

  \mathrm{Ker}f=0のとき,写像 0\mapsto 0という対応のみであるので,このような1つの写像単射である,と看做す.

 したがって(イ)をいえる.

(2)について

(設計)

 P:fが全準同型

 Q:\mathrm{Coker}f=0

と置く.このとき P\dashv\vdash Qより

 P\dashv\vdash Q:fが全準同型のとき,そのときに限り\mathrm{Coker}f=0

が成り立つ.

(仕組)

(ア)  P\vdash Q

  fが全準同型であるとすると

 \mathrm{Coker}f=N/\mathrm{Im}f=\mathrm{Im}f/\mathrm{Im}f=N/N

である.ここで N/Nの内包は

 N/N=\{n+n|n∈N\}

で表される.このとき N=0を計算する.零元の性質 0+0=0より

 N/N=N=0

と書ける.

 したがって,余核 \mathrm{Coker}f=0である.

(イ)  Q\vdash P

 余核 \mathrm{Coker}f=0であるとする.このとき f全射であることを示したい.そのために, f(M)⊆N Mの像の定義により成立するので,逆の N⊆f(M)を計算する.いま,余核は零加群すなわち N/\mathrm{Im}f=0であるので 0∈\mathrm{Coker}fに対して

 

☆ 補足

 0+f(0)∈\mathrm{Coker}f

零元の性質: f(0)=0,0+0=0より

 0∈\mathrm{Coker}

と書ける.

 

 Λ-加群 Mをとくに加法群と看做すとき 0∈Mであるので

 0∈\mathrm{Coker}f→0=f(0)∈f(M)    f(M)=\{f(x)|x∈M\}

である.

 したがって, N⊆f(M)が成立する.▢

 

 

 

 

左Λ-準同型写像に関する誘導写像の性質

 P,Q,R,......:センテンス

 a,b,c,......:パラメタ

 f,f_1,f_2:(M',M)→(N',N) 左Λ-準同型写像

 g:(N',N)→(P'P) 左Λ-準同型写像

とする.このとき次が成立する.

(設計)

 Pは f_1+f_2:(M',M)→(N'N)

 Q:(f_1+f_2)^*=f_{1}^*+f_{2}^*

 Rは gf:(M',M)→(P'P)

 S:(gf)^*=g^*f^*

 T:(λf)^*=λf^*

と置く. P,Q,R,S,T\vdash P∧Q, R∧S, T→Tより

 P∧Q, R∧S, T→T:このような誘導写像の性質が成立する

(仕組)

(ア)  Pについて

 左 Λ-加群から左 Λ-加群への

 f, f_1, f_2:M→N 左 Λ-準同型写像

に対して f:=f_1+f_2と定めると f∈\mathrm{Hom}_Λ(M,N)と書けることは以前示した.

(イ)  Qについて

  f_1,f_2の誘導写像 f_{1}^*, f_{2}^*に関して

 (f_1+f_2)^*=f_1+f_2

 f_{1}^*+f_{2}^*=f_1+f_2

 N→N/N', f(x)\mapsto f^*(\bar{x})  ( x∈M, \bar{x}∈M/M')

による.

(ウ)  Rについて

 合成写像

 gf:=g(f(x))  ( x∈M)

 M→N→P, x\mapsto f(x)\mapsto gf(x)

による.

(エ)  Sについて

 (gf)^*=gf   f(x)\mapsto f^*(\bar{x})

 g^*=g

 f^*=f

より (gf)^*=g^*f^*である.

(オ)  Tについて

 (λf)^*=λf   f(x)\mapsto f^*(\bar{x})

 λf^*=λf

による.

☆ 補足

  Λの可換性を用いることがなかったので, Λは非可換環である,と考える.

絶対値の式を簡単にする問題

 P,Q,R,......:センテンス

 a,b,c,......:パラメタ

とする.このとき,パラメタ a∈\mathbb{R}に対して

 \sqrt{9a^2-6a+1}+|a+2|

を簡単にせよ.

(設計)

 \sqrt{9a^2-6a+1}=\sqrt{(3a-1)^2}=|3a-1|

と計算をする.また

 3a-1=0 i.e.  a=\displaystyle\frac{1}{3}

 a+2=0 i.e.  a=-2

より,パラメタ a∈\mathbb{R}の範囲を決める.

 P:|3a-1|+|a+2|

 Q:a >  \displaystyle\frac{1}{3}

 R:-2≤a

 S:a≤\displaystyle\frac{1}{3}

 T:a <  -2

と置く.いま P,Q,R∧S,T\vdash P∧(Q∨(R∧S)∨T)より

 P∧(Q∨(R∧S)∨T):4a+1∨-2a+3∨-4a-1

が求める答えである.

(仕組)

①  P,Qについて

 a >  \displaystyle\frac{1}{3} i.e.  3a-1 >  0,  a+2 >  0から

 |3a-1|+|a+2|=(3a-1)+(a+2)

による.

②  P, R∧Sについて

 -2≤a≤\displaystyle\frac{1}{3} i.e.  3a-1≤0, a+2≥0から

 |3a-1|+|a+2|=-(3a-1)+(a+2)

による.

③  P,Tについて

 a <  -2 i.e.  3a-1 <  0,  a+2 <  0から

 |3a-1|+|a+2|=-(3a-1)-(a+2)

による.

 

P,Q,R∧S,T |- P∧(Q∨(R∧S)∨T)

 P,Q,R,......:センテンス

とする.このとき

 P,Q,R∧S,T \vdash P∧(Q∨(R∧S)∨T)

が成立する.

(証明)

1    (1)  P  仮定

2    (2)  Q  仮定

3    (3)  R∧S  仮定

4    (4)  T  仮定

3    (5)  R  3. ∧-除去

3    (6)  S  3. ∧-除去

2, 3×      (7)  Q→R  2-5. →-導入

2×    (8)  R  2,7. →-除去

      (9)  R∧S  6,8. ∧-導入

      (10)  Q∨(R∧S)  9. ∨-導入

4×    (11)  R∧S→T  4-10. →-導入

      (12)  T  9,11. →-除去

      (13)  Q∨(R∧S)∨T  12. ∨-導入

1    (14)  P∧(Q∨(R∧S)∨T)  1,13. ∧-導入

1×     (15)  T→P∧(Q∨(R∧S)∨T)  12-14. →-導入

       (16)  P∧(Q∨(R∧S)∨T)  12,15. →-除去

図式が可換であること

 P,Q,R,......:センテンス

 a,b,c,......:パラメタ

 f:M→N  Λ-準同型写像

 M'⊆M(とくに正規部分群)

 M':Mの部分加群

 M'はNの零元に写像する

i.e.  (M',M)→(0,N) 順序対の写像

i.e.  f^*:M/M'→N fの誘導写像

とする.このとき, f^*n=fという図式は可換である.但し nとは Mの自然写像である.

☆ 補足

  M'の元はすべて Nの零元であるので, Mに置ける M'の剰余類及びその元は

 x+M'∈M/M'  ( x∈M)  i.e.  x+0=x∈N

で表示される.

(設計)

 P:f^*はfの誘導写像

 Q:f^*n=f

と置く.このとき P,Q\vdash P∧Qより

 P∧Q:図式は可換

である.

(仕組)

  f^*n=fを計算する.パラメタ x∈Mに対して

 f^*n(x)

 =f^*(n(x))  合成写像の定義

 =f^*(x)    x\mapsto n(x) ①

 =f(x)     x\mapsto f(x) ②

である.

 したがって f^*n=fが成立する. ▢

☆ 補足

①について

  x n(x)に対応付けられているので, n(x)から xに引き戻す.

②について

 引き戻された x f(x)に対応している.