- 集合の共通部分
とする.このとき,ととの共通部分とは,通常
で表される.しかし,たとえば
i.e.
というようにから元をとったとする.ここで推論規則の∧-除去を1回適用すると
のみという状態に成る.これではから元をとった意味がない.
- 例
とする.このときの共通部分は
であるが
i.e.
に対して∧-除去よりを導出すればをから選ぶこともできる(共通部分ではない).また,集合の共通部分の内包は量化されていないが,これを限量記号を用いて表せば
と成るはずだ.しかし,∧の量化は
はに関する条件を表す記号
であるから
で表す.
- 和集合
同じようにして和集合にも似たような問題がある.通常は
と書かれるが,しかしここから1個元をとったときに
について推論規則の∨-導入を1回適用すると
を構成することができてしまう.また和集合の内包は
で表される.
- まとめ
集合の共通部分は集合の最小性をいい,和集合は集合の最大性をいうことがわかった.通常は,最小性と最大性が逆に説明されているので気を付けたい.
- ∧-除去と∨-導入の濫用防止法
いま,命題が与えられている.このとき
∨-導入
あるいは
i.e. ∧-除去
という操作を回避するために
① の内包
理由:∧は←→に変形できるので同値に言い換えた.
② の内包
理由:∨は→に変形できるので仮言に言い換えた.
③ の内包
①と②に似ているが異なるものである.