情報統合思念体への手紙

16号廃墟へ向かう道

A∩BやA∪Bとは何か?

  • 集合の共通部分

 A,B:1つの集合

とする.このとき, A Bとの共通部分とは,通常

 A∩B=\{x|x∈A∧x∈B\}

で表される.しかし,たとえば

 a∈A∩B i.e.  a∈A∧a∈B

というように A∩Bから元をとったとする.ここで推論規則の∧-除去を1回適用すると

 a∈A 乃至 a∈B

のみという状態に成る.これでは A∩Bから元をとった意味がない.

 A:=\{1,2,3,4\}

 B:=\{2,4,6\}

とする.このとき A,Bの共通部分は

 A∩B=\{2,4\}

であるが

 a∈A∩B i.e.  a∈A∧a∈B

に対して∧-除去より a∈Aを導出すれば a=1 Aから選ぶこともできる(共通部分ではない).また,集合の共通部分の内包は量化されていないが,これを限量記号を用いて表せば

 ∀x[x∈A∩B→x∈A∧x∈B]

と成るはずだ.しかし,∧の量化は

 ∃x[x∈A∧φ(x)]   φ(x) xに関する条件を表す記号

であるから

 ∀x∃x[x∈A∩B→[x∈A∧x∈B]]

で表す.

  • 和集合

 同じようにして和集合にも似たような問題がある.通常は

 A∪B=\{x|x∈A∨x∈B\}

と書かれるが,しかしここから1個元をとったときに

 a∈A∨a∈B

について推論規則の∨-導入を1回適用すると

 a∈A∨a∈B∨a∈C

を構成することができてしまう.また和集合の内包は

 ∀x∀x[x∈A∪B→[x∈A∨x∈B]]

で表される.

  • まとめ

 集合の共通部分は集合の最小性をいい,和集合は集合の最大性をいうことがわかった.通常は,最小性と最大性が逆に説明されているので気を付けたい.

  • ∧-除去と∨-導入の濫用防止法

 いま,命題 P(x)が与えられている.このとき

 P(x)∨Q(x)∨\cdots  ∨-導入

あるいは

 P(x)∧Q(x) i.e.  P(x)  ∧-除去

という操作を回避するために

①  A∩Bの内包

 ∀x∃x[x∈A∩B→[x∈A←→x∈B]]

理由:∧は←→に変形できるので同値に言い換えた.

②  A∪Bの内包

 ∀x∀x[x∈A∪B→[x∈A→x∈B]]

理由:∨は→に変形できるので仮言に言い換えた.

③  A⊂Bの内包

 ∀x[x∈A→x∈B]

①と②に似ているが異なるものである.